Gerberファイルのチェックリスト:製造トラブルを防ぐ設計データの最終確認
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- Gerberファイルとは何か(用語メモ)
- 提出前に必ず確認する基本項目(出力前)
- 出力後に必ず行うチェック(Gerber取り込み・CAM確認)
- 製造上の注意点と高度なチェック
- パネル化(面付け)とデパネライズの注意
- 最終チェックリスト
- 実務でよくあるトラブル事例と対処法
- まとめ
設計が完了した基板をいざ製造に出す前に、Gerber(ガーバー)ファイルを正しく準備・確認することは非常に重要です。Gerberファイルは製造工場が基板を作るための「設計図」であり、ここにミスがあると基板が意図した通りに出来上がらず、納期遅延や追加コストにつながります。本記事では、実務で使えるチェックリストと具体的な確認手順をまとめました。
Gerberファイルとは何か(用語メモ)

Gerberファイル:基板の各レイヤー(銅箔、ソルダーマスク、シルク、外形など)を表すベクターデータの集合です。製造機械はこのデータを読み取って基板を加工します。
ドリルファイル(Excellon):穴あけ情報を記したファイルで、スルーホールやビア(層間接続用の穴)などの位置と径が記載されています。いわゆる機械的な寸法が入っています。
DFM(Design for Manufacturing):製造しやすい設計にするための考え方やチェック項目です。
提出前に必ず確認する基本項目(出力前)
1. 設計最終版(Rev)とファイル管理
まず、設計が最新リビジョン(Rev)であることを確認します。何度も更新しているうちに、どのリビジョンが最新かわからなくなることもあります。ファイル名やフォルダにRevを明記し、古いデータが混在しないようにするといいでしょう。誤って旧版を送ると製造ミスの原因になります。
2. レイヤー構成の確認
出力するレイヤーが設計意図と一致しているか確認します。一般的なレイヤー例は以下の通りです。
- Top Copper(トップ銅箔)
- Bottom Copper(ボトム銅箔)
- Inner Layers(内層、4層以上の場合)
- Top/Bottom Solder Mask(ソルダーマスク)
- Top/Bottom Silkscreen(シルク印刷)
- Board Outline(外形)
- Drill File(ドリル)
Paste Mask(はんだペースト用マスク)
レイヤー名は製造業者が判別しやすい命名にします(例:GTL, GBL, GTS, GBS, GTO, GBO, GKO)。
3. フォーマットと単位の確認
Gerberのフォーマットは一般的にRS-274X(拡張ガーバー)またはGerber X2が使われます。出力時に製造先の指定フォーマットに合わせ、単位(mmまたはinch)と座標フォーマット(整数桁・小数桁)を合わせてください。単位の不一致は穴位置ズレなど重大なトラブルを招きます。JLCPCBでは、RS-274Xを推奨しています。
出力後に必ず行うチェック(Gerber取り込み・CAM確認)
4. Gerberビューアでの重ね合わせ確認
Gerberビューア(ガーバービューア)で全レイヤーを重ねて表示し、以下を確認します。
- 銅パターンとソルダーマスクの開口が一致しているか。
- シルク(部品番号や極性マーク)がパッド上に重なっていないか。
- 外形線が正しく表示され、銅と干渉していないか。
- ベタ(銅の面)やスルーホールの位置がずれていないか。
ビューアでの確認は最も基本的で効果的なチェックです。スクリーンショットを保存しておくと製造側とのやり取りがスムーズになります。
5. ドリルファイル(Excellon)の照合
ドリルリスト(ツールリスト)と実際のドリルファイルの穴径・穴数・PTH(めっき穴)/NPTH(非めっき穴)の区分を照合します。ドリル径の単位やゼロ省略(leading/trailing zeros)の設定ミスで穴位置や径が誤認されることがあるため、数値を必ず確認しましょう。
6. アニュラリング(ランドの余肉)とパッド設計
アニュラリングとは穴周りのランド(はんだ付け面)の幅です。ドリル径に対して十分なアニュラリングがあるか確認します。小さすぎるとはんだ付け不良やテント(ドライフィルム)破れの原因になります。製造業者の推奨値を参照してください。
7. ソルダーマスクとペーストマスクの設定
ソルダーマスク(はんだを防ぐ緑などの膜)とペーストマスク(はんだペーストを載せる開口)の開口サイズを確認します。狭ピッチ部品ではマスクのクリアランスやペースト量が重要です。シルクがパッドにかかっていないかもチェックしましょう。
8. シルク(文字)とフォント
シルクの文字サイズや線幅が製造可能な最小値を満たしているか確認します。小さすぎる文字は潰れて読めなくなることもあります。部品番号や極性マークは十分な大きさにしましょう。アウトラインフォントを使用するか、ラスタフォントが正しく変換されているかも確認してください。
9. 外形・ミリング・長穴の扱い
基板の外形(ボードアウトライン)は1本の連続した線で出力されているか、長穴やスロット(溝)はドリル連打(ドリルで連続的に穴あけをして長穴にする手法)を使うのか、外形で加工寸法を正しく指定されているかを確認します。ルータ加工やVカット(V-score)を使う場合は、パネル化時の余白やツールホールも設計に含めます。
製造上の注意点と高度なチェック

10. ビアの種類と配置(スルーホール、ブラインド、ベリード、マイクロビア)
ビア(via)は層の間を接続する穴です。スルーホール(基板を貫通する穴)以外に、ブラインド(片側のみ接続)やベリード(内層のみ)などがあります。これらは製造工程やコストに影響するため、必要性を再確認してください。ビアインパッド(部品パッド内にビアを配置)を使う場合は埋め処理や埋め後の平坦化(via fill)を検討します。
11. インピーダンス管理とスタックアップ
高速信号がある場合はインピーダンス制御が必要です。スタックアップ(層構成)を明確にし、銅厚や誘電率(基板材料の特性)を製造業者と合わせます。インピーダンス指定がある場合は、ターゲット値と許容差を明記してください。
12. 銅バランスとベタの配置
片面に大きな銅ベタ(面)があると基板の反りや積層時の問題が発生します。銅バランスを考慮して反対側にも適度な銅を配置するか、スロット(溝や細長い開口や長穴)やテストクーポン(意図的に設ける試験用の領域)でバランスを取ります。
13. フィデューシャル(位置合わせマーク)とツールホール
実装機や検査機で基板位置を認識するためのフィデューシャル(位置合わせ用マーク)をパネルに配置します。パネル化する場合はツールホール(治具用の穴)も設計に含めます。
パネル化(面付け)とデパネライズの注意
14. パネル化設計の確認
複数基板を一枚のパネルに並べる場合、パネル利用率、Vカット位置、ブレークタブ(切り離し用の残し)やルータパスを確認します。パネル化は製造効率を上げますが、デパネライズ(分割)時の破損リスクも考慮する必要があります。
15. テストポイントと検査用パッド
量産検査(ICTやフライングプローブ)を行う場合、治具に合わせたテストポイントをパネル上に配置します。テスト用のパッドやテストクーポンを設けると検査が容易になります。
提出パッケージとドキュメント
16. 必要ファイルの一覧とREADME
製造に必要なファイルをZIPにまとめましょう。特記事項がある場合は、README(説明書)を同梱します。一般的な提出ファイルは以下の通りです。
- Gerberファイル(各レイヤー)
- ドリルファイル(Excellon .drl)
- パネル図(面付け図)
- スタックアップ図(層構成)
- ドリルツールリスト(穴径とツール番号)
- BOM(部品表)とPick-and-Place(CPL、センチロイド)
- README(製造上の注意、仕上げ、めっき指定、特殊指示)
17. ZIP名とRev管理
ZIPファイル名にプロジェクト名とRevを入れ、旧Revと混在しないようにします。例:ProjectName_RevA_20260409.zip のように日付を入れると管理が楽になるためオススメです。
最終チェックリスト
- 最新Revで出力しているか。
- 全レイヤー(銅、マスク、シルク、外形、ペースト)が含まれているか。
- ドリルファイルの穴径・穴数・PTH/NPTH区分を照合したか。
- 単位(mm/inch)と座標フォーマットが正しいか。
- Gerberビューアで重ね合わせ表示し、銅とマスク、シルクの干渉を確認したか。
- アニュラリング、最小トレース幅、最小クリアランスが製造可能か。
- シルクがパッド上に重なっていないか、文字サイズは十分か。
- 外形・長穴・スロットの指定が正しいか。
- スタックアップとインピーダンス指定を明記したか(高速信号で必要な場合)。
- パネル化時のVカット、ツールホール、フィデューシャルを設計に含めたか。
- 必要ドキュメント(BOM、CPL、スタックアップ)を同梱したか。
- ZIP名にRevと日付を入れて管理しているか。(推奨の方法)
実務でよくあるトラブル事例と対処法
シルクがパッドにかかって実装できない
原因:シルクレイヤーの誤選択や出力設定ミス。
対処:Gerberビューアでシルクとパッドの重なりを確認し、シルクをパッドからオフセットするか、シルクをパッド上から削除します。
ドリル位置がずれている
原因:単位や座標フォーマットの不一致や、ゼロの省略による設定ミス。
対処:ドリルファイルの単位とGerberの単位を合わせ、ビューアで座標原点と穴位置を確認します。
ソルダーマスクがパッドを覆っている
原因:マスクレイヤーの出力ミスやマスク拡張(solder mask expansion)設定不良。
対処:マスク開口を確認し、必要ならマスク拡張値を調整します。
まとめ
Gerberファイルの最終確認は、最も重要な工程の1つです。ここでミスがあると、せっかくの設計が無駄になることさえあります。出力前のレイヤー確認、Gerberビューアでの重ね合わせ、ドリルリストの照合、Rev管理などを習慣化することで、製造トラブルを大幅に減らせます。万が一ミスをしていたとしても、製造業者からのDFM指摘によって改善できることもあります。指摘は早めに対応し、疑問点は発注前に確認することをおすすめします。
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