PCBの銅箔厚を理解する:規格と単位換算
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- PCBの銅箔厚とは?
- PCB銅箔厚の測定方法
- PCBで一般的な銅箔厚の標準値
- 層数が銅箔厚に与える影響
- 銅箔厚が重要な理由(実務的観点)
- 銅バランス(Copper Balancing)とは?
- 銅ポア(Copper Pour)とは?
- まとめ
PCB の銅箔厚について語るとき、実は製造メーカーで選べる選択肢はそれほど多くありません。設計者が配線幅を広げずに電流容量を増やしたい場合、横方向ではなく**銅箔の厚み(銅重量)**を増やすという選択をします。
しかし、選べる厚みには限りがあり、ほとんどのメーカーは標準的な銅厚を採用しています。銅箔の選定は、電力供給、信号伝送、熱管理のバランスを取ることが本質です。
配線幅や長さは常に設計上の重要ポイントです。
細すぎれば大電流で配線が焼損し、
厚すぎればエッチング工程が難しくなり、コストが跳ね上がります。
その中間に、最適なスイートスポットが存在します。
本記事では、PCB 銅箔厚に関する規格、測定方法、単位換算について解説します。
PCBの銅箔厚とは?
簡単に言うと、PCB 銅箔厚とは、基板の絶縁材料(ラミネート)上に形成される銅層の厚みのことです。以下の3つの単位で表されます。
- マイクロメートル(µm)
- ミル(mil:1 mil = 0.001 インチ)
- 平方フィートあたりのオンス(oz/ft²)
PCB 業界では、oz(オンス)表記が標準として使われています。これは、歴史的に「1平方フィートあたりにどれだけの銅重量が分布しているか」で測定していたためです。
- 1 oz/ft² ≈ 35 µm ≈ 1.37 mil
つまり、1oz 銅箔の PCB 層の厚みは約 35µmとなります。
PCB銅箔厚の測定方法
銅箔厚の測定は、主に2つの場面で考えられます。
- 製造前 設計時にメーカーへ銅厚(例:1 oz)を指定します。メーカーは、あらかじめベース銅が形成されたラミネート材を使用します。
- 製造後 実際の完成基板では、スルーホールやビア形成時のめっき工程により、銅厚はベース銅よりも厚くなります。 測定は、PCB を断面カットして顕微鏡で観察する断面解析が一般的です。より高精度な方法としては、表面プロファイロメトリも用いられます。
完成後の銅厚は、必ず指定値よりわずかに増加します。
PCBで一般的な銅箔厚の標準値
PCB の銅箔厚は、製造を簡素化するために標準化されています。代表的な値は以下の通りです。
- 0.5 oz(17 µm) 多層 PCB の細ピッチな内層でよく使用
- 1 oz(35 µm) 最も一般的な業界標準
- 2 oz(70 µm) 電源回路、自動車、産業用基板
- 3 oz(105 µm)以上 大電流用途向けのヘビー銅 PCB
完成銅厚の許容範囲や基準は、IPC-6012 によって定義されています。

層数が銅箔厚に与える影響
2層 PCB から多層 PCB になると、外層と内層の銅箔厚の違いが顕著になります。
一般的には、
- 表層(Top / Bottom):1 oz
- 電源密度の高い基板:2 oz を使用する場合もあり
- 内層:0.5 oz(配線性と製造性を確保)
層数が増えるほど、基板内の銅量は増加します。厚い銅箔には、より厚く、誘電率(Dk)の高い絶縁層が必要になります。
層間距離が大きくなると、インピーダンス不整合やコスト増加につながります。一方で、放熱性と熱伝導性は向上します。
銅箔厚が重要な理由(実務的観点)
- 電流容量 銅が厚いほど、発熱せずに流せる電流が増えます。設計時には IPC-2152 を基準に選定します。
- 熱管理 銅量が多いほど、パワー部品からの熱を広く拡散できます。自動車用途では、基板剛性向上にも寄与します。
- 信号品質・インピーダンス 配線の長さ、幅、間隔、そして銅厚がインピーダンスを決定します。信号整合設計では銅重量の考慮が必須です。
- 機械的強度 銅量が多いほど PCB 全体の強度は向上します。
- コストと製造性 厚銅はエッチングやめっき時間が増え、コストアップにつながります。微細配線も難しくなります。
銅バランス(Copper Balancing)とは?
基板全体で銅分布が不均一だと、めっき・エッチング工程で問題が発生します。
銅密度の高い領域と低い領域で挙動が異なり、反りやねじれの原因になります。
そこで用いられるのが銅バランスです。
これは、基板全体で銅分布を均一にするため、電気的に接続されない**ダミー銅(ダミーパターン)**を追加する手法です。
回路特性を変えることが目的ではなく、製造工程を安定させるために行われます。
銅ポア(Copper Pour)とは?
銅ポアとは、PCB 層の未配線領域を広い銅面で埋める設計手法です。
未使用部分をベタ銅で覆い、特定のネット(多くは GND)に接続します。
銅ポアの効果は多岐にわたります。
- リターンパスのインピーダンス低減
- 信号品質の向上(基準面の形成)
- 放熱性能の向上
- エッチング量削減による製造性向上
まとめ
PCB の銅箔厚は、一見すると些細な指定項目に見えます。しかし実際には、
- 電流容量
- 放熱性能
- フィールドでの信頼性
を大きく左右します。
学生にとっては、単位換算や IPC 規格の理解が非常に重要です。
次に PCB を注文するとき、何気なく「1 oz」を選ぶ前に、ぜひ考えてみてください。
- 本当にその電流や熱に十分か?
- 銅を厚くするとインピーダンスや製造性に影響しないか?
信号品質の観点から、配線幅・長さ・電流に基づいて銅厚を計算することも可能です。
実際の設計で銅箔厚の影響を体験したい場合は、JLCPCB のオンライン注文システムが便利です。
リアルタイム見積もりで銅重量を変更し、コスト差を即座に確認できるため、学生やエンジニアにとって実践的な学習ツールになります。

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