HDI基板設計の基礎|微細配線を実現するビルドアップ構造とは?
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電子機器の小型化と高性能化が進む中、プリント基板設計において不可欠となっているのがHDI(High Density Interconnector)基板です。
本記事では、従来の多層基板との違いから、製造プロセス、設計上の留意点までを技術的視点で解説します。

HDI基板(高密度相互接続基板)の基礎知識と分類
HDI基板とは、従来のプリント基板よりも配線密度が極めて高い基板の総称です。主に「ビルドアップ工法」を用いて製造されます。
従来の多層基板とHDI基板の違い
従来の多層基板は、全ての層を一度にプレスして貫通ビア(Through Hole)で接続する構造が一般的です。これに対し、HDI基板は層間を必要な箇所だけ接続する「マイクロビア」を多用します。
ビルドアップ工法の仕組み
ビルドアップ工法は、コアとなる基板の上に絶縁層と導体層を一層ずつ積み上げ、逐次ビアを形成していく手法です。
この工法により、貫通ビアでは不可能だった自由度の高い層間接続が実現します。
HDI設計の鍵を握る「ビア(Via)」と「配線」の最適化

HDIの真価は、高度なビア技術による省スペース化と信号品質の向上にあります。
小型化・軽量化(スマホ・ウェアラブル向け)
スマートフォンやスマートウォッチなど、極めて限られたスペースに多機能ICを実装する場合、HDI基板が必須となります。ビアが占有する面積を最小化することで、部品密度を極限まで高められます。
電気特性の向上とノイズ低減
配線長を短縮できるため、寄生容量やインダクタンスが低減し、信号の伝送損失が抑制されます。これは、5G通信や高速プロセッサを搭載する基板において、インピーダンス制御の精度を高める上で決定的な利点となります。
材料工学と製造プロセス:ビア構造の種類
HDI設計において、信頼性を左右するのがビアの構造と充填技術です。
ブラインドビア(埋め込みビア)とスタックビア
· ブラインドビア: 外層と内層のみを接続し、基板を貫通しないビア。
· 埋め込みビア(ベリードビア): 内層間のみを接続し、外層からは見えないビア。
· スタックビア: マイクロビアを垂直に積み重ねた構造。高度な位置合わせ精度が要求されます。
フィルドビア(ビアフィル)の重要性
ビアの内部を銅めっきで充填する「ビアフィル」は、HDIにおいて不可欠です。ビアを平坦化することで、その真上にさらにビアを重ねたり、部品のパッドとして利用したりすることが可能になります(Via-in-Pad)。
HDI基板の不具合対策と信頼性評価
高密度ゆえに、熱や物理的応力による不具合のリスクも高まります。
発生しやすい不良メカニズム
· 層間剥離(デラミネーション): 異なる材料間の熱膨張係数(CTE)の差により、熱サイクル時に剥離が生じる現象。
· 導通不良: マイクロビアの底面と下層の銅箔間の接続強度が不足し、断線が発生するケース。
信頼性試験と評価指標
厳しい品質管理のため、断面研磨による構造観察や、一定時間の高温環境下に置く「熱衝撃試験(IST試験など)」を行い、ビア接続部の耐久性を評価します。
JLCPCBでHDI基板を安価かつ高品質に製作するポイント

JLCPCBのような製造プラットフォームを利用する場合、製造コストを抑えつつ設計意図を実現するためには、メーカーの製造能力(Capabilities)を正確に把握する必要があります。
製造限界とDRC(デザインルールチェック)の活用
JLCPCBのHDIサービスでは、最小ライン/スペース(例:0.06mm/0.06mm程度)や最小ドリル径が定められています。設計ツール側でこれらの制約をDRCに設定し、エラーを未然に防ぐことが重要です。
コストを抑えるためのスタックアップ指定
HDIには「1+N+1」や「2+N+2」といったビルドアップの構造規格があります。
層数を増やすほどプレス工程が増えるため、必要以上に層間をまたぐビアを設計せず、標準的なスタックアップに準拠させることでコストを最適化も可能です。
次世代設計に欠かせないHDI基板の導入に向けて
HDI基板は、単なる配線基板ではなく、システム全体のパフォーマンスを決定する重要な部品です。
設計初期段階から材料特性、ビア構造、そして製造ベンダーの制約を考慮することで、開発のリスクを最小限に抑えることが可能となります。
FAQ
Q1:HDI基板と通常の多層基板、どちらを選ぶべきですか?
A: 実装するICのピンピッチが0.5mm以下、あるいはBGA端子数が非常に多く、貫通ビアでは配線を引き出しきれない(ファンアウトできない)場合にHDIを選択します。
内部リンク:
Q2:材料(プリプレグ)に指定はありますか? A: HDIではレーザー加工性が重要となるため、レーザー加工に適した低誘電率・低損失の特殊材料が選定されるのが一般的です。
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