基板実装(PCBA)のキホン|実装の意味から失敗しない準備まで解説
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電子機器の心臓部ともいえる「プリント基板」。自作キーボードやIoTデバイスなど、自分で基板を設計してみたいと考える方が増えています。しかし、基板の板そのものを作っただけでは、回路として機能しません。そこで重要になるのが「実装(じっそう)」という工程です。
今回は、初心者の方がまず知っておくべき基板実装の基礎知識と、スムーズに発注するための準備について解説します
基板実装(PCBA)とは?:基板に「命」を吹き込む工程
まず整理しておきたいのが、基板に関する用語の違いです。
基板の世界では、「PCB」と「PCBA」という言葉がよく使われます。
· PCB(Printed Circuit Board):部品が載っていない、配線だけの「板」の状態を指します。日本語では「生基板」とも呼ばれます。
· PCBA(Printed Circuit Board Assembly):PCBに電子部品をはんだ付けし、組み立てが完了した「基板の実装品」を指します。
つまり、板を作るのが「製造」で、そこに部品を載せて電気を通るようにするのが「実装」です。この実装工程を経て初めて、基板は電子機器としての「命」を吹き込まれます。
【用語解説】「基板」と「基盤」、正しいのはどっち?
インターネットで検索すると「電子基盤」という表記を見かけることがありますが、電子業界での正式な名称は「基板」です。
「基盤」は社会インフラや物事の土台(生活基盤など)を指す言葉です。一方で「基板」は、回路が描かれた板そのものを指します。専門業者へ問い合わせる際や検索する際は、「基板」という言葉を使うのがスムーズです。
部品を載せる2つの方法:SMT(表面実装)とTHT(穴通し)

基板に部品を取り付ける方法は、大きく分けて2つあります。
ひとつめは、SMT、そして昔ながらのTHTです。
今の主流「表面実装(SMT)」は小さく・たくさん載せる技術と言われています。
「SMT」は、基板の表面にある銅箔(ランド)の上に部品を載せ、はんだ付けする方法です。基板に穴を開ける必要がないため、板の両面に部品を載せることができ、基板を大幅に小型化できるのが特徴的です。
昔ながらの「スルーホール実装(THT)」は丈夫で壊れにくくする技術です。
「THT」は、SMTに比べて手間はかかりますが、物理的な強度が非常に高いのが特徴。抜き差しを繰り返すコネクタや、重さのある大型部品の実装に適しています。
基板実装を自分でする?それともプロに任せる?
基板を作るとき、実装を自分で行うか業者に依頼するかは悩むポイントです。
DIYできるケースは、部品のサイズが比較的大きく、数も数十個程度であれば市販のはんだごてを使って自分で行うことも可能です。施策段階で「まずは1枚だけ」であれば、コストを抑えられるでしょう。
一方で、以下のような場合はプロの実装サービスを利用するのが賢明です。
l 部品が小さすぎる
l 数が多い。
l 失敗が許されない
数が多かったり、部品が小さい場合、高価なICチップを使用する場合は、熱による破損リスクを避けるため、温度管理が徹底されたプロの設備に任せるのが安心です。
JLCPCBで「実装」を依頼するための準備

JLCPCBのようなオンライン基板製造サービスに実装(PCBA)を依頼する場合、基板の設計データ(ガーバーデータ)以外に、以下の2つのリストが必要になります。
· BOM(Bill of Materials):いわゆる「部品の買い物リスト」です。どのメーカーの、どの部品を、何個使うかを記載します。
· CPL(Component Placement List):部品を基板上のどの位置に、どの向きで置くかを記した「配置図の数値データ」です
KiCadなどの基板設計ソフトを使えば、これらのデータは自動出力できます。
注意点として、部品の向き(角度)がソフト上の設定と製造機の認識でズレることがあります。注文画面のプレビュー機能を使い、部品が正しい向きで表示されているかを確認することが、失敗を防ぐコツです。
FAQ
Q:部品は自分で用意して送る必要がありますか?
A:多くの場合は業者が保有している在庫から選んで使用できます。JLCPCBでも膨大な部品在庫があるため、リストで指定するだけで調達まで代行してくれます。
Q:1枚だけでも実装を依頼することは可能ですか?
A:はい、可能です。以前は量産が前提でしたが、現在はJLCPCBのように試作1枚から実装を受け付けているサービスが増えており、個人開発者でも気軽に利用できます。
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