JLCPCB計算ツールを使ったフレキシブルヒーター設計チュートリアル
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JLCPCB計算ツールを使ったフレキシブルヒーター設計チュートリアル
このチュートリアルは、JLCPCBのフレキシブルヒーターカスタマイズサービス専用に設計されています。専用の計算ツールにより、複雑なトレース設計を簡素化し、性能パラメータに集中できる一方で、技術的な実装は当社のエンジニアが対応します。
ここをクリックしてExcelファイルをダウンロードしてください!
はじめに
本記事では、材料選択と電気設計の観点からフレキシブルヒーターの設計方法を説明します。電子工作のDIY愛好家の方なら、市販製品にどこか不満を感じ、製品パラメータを自由にカスタマイズしたいと思ったことがあるでしょう。しかし、実際にカスタマイズを始めようとすると、初心者であろうと経験者であろうと、様々なパラメータに迷い、どのパラメータが何の役に立ち、どう調整すれば目的の効果が得られるのか分からなくなることがあります。
幸いなことに、フレキシブルヒーターはそれほど複雑な部品ではありません。カスタマイズの余地はあるものの、PCBのような基礎的な部品に比べれば遥かにシンプルです。本記事1本で主要な設計ポイントを網羅できます。なお、本記事で扱うフレキシブルヒーターは、フレキシブル加熱フィルムを指し、加熱水管などの他のフレキシブル加熱製品は含みません。
電気回路設計
フレキシブルヒーターの核心は回路トレース設計です。従来のトレース設計は抵抗分布、発熱均一性、トレース間隔など多くの要素を考慮する必要があり、初心者には難しいものでした。JLCPCBは初心者向けに主要設計パラメータを計算する専用ツールを用意しており、複雑なトレースレイアウト作業を省略できます。性能パラメータの設計に集中できる一方で、具体的なトレース実装は専門エンジニアが対応します。以下、この計算ツールの詳しい使い方を説明します。
ツールインターフェースの概要
このツールはExcelシートです(後にオンライン版や他フォーマットも予定)。シートは機能上、3つの核心エリアに分かれています:

中央計算エリア:緑セルに手入力、赤セルに計算結果

材料パラメータエリア:発熱線に使用可能な材料の物性値

計算検証エリア:中央計算エリアの結果を検証
これら3エリアの役割を理解することがツール使用の鍵です。簡単に言えば、中央計算エリアがメイン作業場、材料パラメータエリアが参考用の金属材物性値、計算検証エリアが設計精度の確認です。
ステップバイステップ設計手順
ステップ1:基本パラメータを準備
まず、中央計算エリアに3つの基本パラメータを入力します:
1. 発熱エリア長さ
2. 発熱エリア幅
3. 目標抵抗(Resistance R)
長さ・幅は加熱したい面積から直接計測。規則的な形状でなければ、それを覆う長方形で近似。抵抗値はプロジェクトの電源電圧と所要電力から算出。例:12V電源で14.4Wが欲しい場合、R = V²/Pで10Ω。
例として、発熱エリア100mm×100mm、目標抵抗10Ωを入力します。
ステップ2:発熱材料を選択
次に、発熱金属材料を選びます。材料パラメータエリアに厚み・抵抗率などが記載。選んだ材料の2パラメータを中央計算エリアへ。例ではFeCrAl(フェクロアル)を選択。
材料選択の基本方針:
● 目標抵抗が高い(数十Ω以上)→抵抗率の高いFeCrAl等
● 目標抵抗が低い(数Ω)→抵抗率の低い銅等
これでトレースが極端に細く・太くなるのを回避。
ステップ3:ワイヤグループ数を設定
「Number of heating wire groups」は並列回路数。多いほど導体断面積が増え抵抗が下がり、少ないほど抵抗が高くなるが配線が簡単。

迷ったら1から始め、計算結果を見て調整。
ステップ4:線幅の反復最適化
最重要ステップ。「Assumed line width」に初期値を入れ、計算結果を観察。
手順:
1. 「Assumed line width」に値を入力(小数点第1位推奨)
2. Enterで計算実行
3. 結果エリアの「Line width」を確認
4. 「Assumed」と「Result」の差を見る
目標:2値をできるだけ近づける。差が2以内なら許容。
非線形なので複数回トライ。うまくいかなければ材料やグループ数を変更。
ステップ5:設計検証
想定線幅が決まったら、計算検証エリアで最終チェック。
手順:
1. 検証エリアの「Resistivity」=ステップ2の材料値
2. 「Material thickness」も同様
3. 「Line width」に決定値
4. 「Line length」に実際のトレース長(パッド・曲がり考慮)
5. Enterで抵抗値を確認
誤差5%以内なら設計OK。大幅にずれればステップ4に戻る。
材料選択
電気設計が完了したら材料選定。見た目以上に寿命・用途・安全性・コストに直結します。
フレキシブルヒーターの発熱原理は抵抗発熱。ドライヤーやストーブと同じですが、細く柔らかくするため抵抗率が高く展延性に優れる金属を使います。
構成部品:
1. 発熱抵抗線:熱源
2. 封止フィルム:絶縁・支持
3. リード線:外部電源接続
4. 温度センサ(任意)
5. 粘着層:3M両面テープ等
自由に選べるのは封止フィルム・抵抗線・粘着材の3点です。
封止フィルム:シリコン vs PI
外観で最も分かりやすく、耐熱・機械強度・柔軟性に直結。PIヒーター・シリコンヒーターなどと呼ばれます。
| 特性 | PIフレキシブルヒーター | シリコンフレキシブルヒーター |
| 基材厚み | 0.09-0.27mm | 1.0-2.0mm(シリコン層含む) |
| 透光率 | 50μm:60.2%/25μm:70.6% | 0% |
| 使用温度 | -40~260℃(長期<150℃) | -40~300℃(長期<200℃) |
| 耐電圧 | 3.7~220VAC 2000VDC1min漏電≤1mA | 1~380VAC 2500VDC1min漏電≤1mA |
| 絶縁抵抗 | ≥100MΩ@DC1000V | ≥500MΩ@DC1500V |
| 最大電力密度 | 1.0 W/cm² | 2.0 W/cm² |
| 熱伝導率 | 0.2-0.35 W/(m·K) | 1.0-1.5 W/(m·K) |
| 耐圧縮強度 | ≤50kgf/cm² | 200-350kgf/cm² |
| 引張力 | ≥100N | ≥100N |
| 寿命 | 5年 | 5年 |
PIの特長:超薄・柔軟・透光・速暖。筐体保護がある医療機器・車載バッテリー・計測器などに。
シリコンの特長:高耐圧・高耐熱・高絶縁・高電力密度。屋外・曝露・食品プロセスなど過酷環境に。
選び方:超薄柔軟が必要ならPI、曝露・耐圧・高電力ならシリコン。コストはPIがやや高め。
発熱金属線:銅/SUS/FeCrAl
“心臓部”。電気設計で既に数値は登場していますが、特徴を再整理。
| 材質 | 厚み(mm) | 抵抗率(Ω·cm²) |
| 銅(CU) | 0.03/0.05 | 0.067±6% |
| SUS304 | 0.03/0.05 | 0.768±6% |
FeCrAlは表にはありませんが約1.2-1.4 Ω·mm²/mと最も高抵抗。
銅:低抵抗・高電流・低電圧(5V/12V)向け。トレースは細長くなるが熱伝導が均一。
SUS:中抵抗・耐食・強度。湿気・化学環境にも適す。
FeCrAl:高抵抗・高温・耐酸化。220V級工業用・高温用途に。
選び方:低抵抗は銅、高抵抗はFeCrAl、中間はSUS。電圧・環境・コストも考慮。
裏面粘着材:3Mタイプ比較
被加熱体へ確実に固定する鍵。高温でも劣化せず寿命を通じて粘着力を維持する必要があります。
| テープ | 厚み(mm) | 長期耐熱 | 短期耐熱 | 特徴・用途 |
| 3M 9448A | 0.15 | 70℃ | 150℃ | 汎用・コスト重視。中低電力・60℃以下。 |
| 3M 468MP | 0.13 | 149℃ | 204℃ | 高機能アクリル。PIヒータ標準。高温・金属面。 |
| 3M 55236 | 0.06 | 70℃ | 150℃ | 超薄・低負荷。ウェアラブル・小型医療機器。 |
| Crown 513(国産) | 0.16 | 80℃ | 110℃ | 厚み・柔らかく曲面適性。コスト優位。 |
使い方の共通注意:装着前の脱脂・清掃、貼付後の加圧(15PSI15秒以上)、24hは高負荷を避け、72hで最大粘着力。使用温度はヒータ定格より20℃以上余裕を持たせる。
機械固定補助:バネフック・ボルト穴・面ファスナー・クリップ等も紹介しましたが、JLCPCBは現状粘着材のみ標準提供です。必要なら粘着材併用でご自身で追加してください。
まとめ
フレキシブルヒーター設計は“電気設計+材料選択”の2軸。本記事の手法とツールを習得すれば簡単です。
・電気設計:計算ツールでトレースレイアウトを簡略化。パラメータ意味と反復最適化を理解し、検証で精度を確保。
・材料選択:超薄柔軟ならPI、耐久重視ならシリコン。低抵抗は銅、高抵抗はFeCrAl、中間はSUS。粘着は温度に合わせて468MPか9448A/国産を選択。
実際の用途を基準に設計し、電圧・電力・環境・コスト・安全余裕を考慮してください。困ったらJLCPCB技術サポートへ。皆様のプロジェクト成功をお祈りしています!

学び続ける
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